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ー私立瑛華(えいか)学園高校ー
「それでは出欠をとります。新井君。」
「はい。」
「石川さん。」
「はい。」
「岡崎君。」
・・・・・。
「岡崎君?」
・・・・・・・・。
「先生、岡崎君は例によっていつもの場所だと思います。」
「また?今月に入ってまだ1週間なのにもう欠席3回目よ?龍崎君、居場所を知ってるなら連れてきてくれない?」
「連れてくるのは構わないですが、あんまり無理やりだと机蹴っ飛ばして出て行きかねませんよ?」
「はぁ、まったく。困ったものね。・・出欠を続けます。河合さん・・・。」
私、秋崎市花はこの瑛華学園で2年生の英語を受け持つ新米教師です。
担任は持っていないけど、ある生徒のことでとっても悩んでいます。
それが・・・・・、
「Zzzz・・・。」
「・・・・・。」
「Zzzz・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
今、私の目の前で眠っているこの生徒。
岡崎悠介君。
2限目が終わって、次の時間に授業が入っていなかったので、例の場所・・・彼のサボり場になっている屋上に来てみたら気持ちよさそうにお昼寝をしていた。
「・・・まったく。」
私は彼を起こすためにしゃがんだ。
「岡崎君、起きなさい!!もう3限目が始まってるわよ!?岡崎君!!」
「Zzzz・・・・。」
「岡崎君てば!!コラッ!起きなさい!!」
いくら肩をゆすっても、頭を叩いてみてもちっとも起きる様子がない。
「もー!!岡崎君!?起きなさい!!」
仕方がないから手のひらで頬をパチパチと叩いてみた。
パシン
急に手首をつかまれた。
「!!」
さすがにここまでやって起きないようじゃ、頬を叩いても起きないだろうと考えていた私は、油断していた。
「痛ぇ・・・。」
「・・・・起きた。」
開口一番、明らかに不機嫌な声で彼はそう呟いた。
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