あの海賊たちの名前を、僕達はまだ知らない

2/47
25916人が本棚に入れています
本棚に追加
/493ページ
「チクショウ…散々な目にあったぜ…」 男達はそれぞれ臀部、或いは腰部を擦りつつ、顔を歪めてそう呟いた。 自業自得である。 一時のテンションに身を任せる奴は身を滅ぼすのだよ。 「しょうがない奴らだな…”癒しの羽根”」 創造で男達を回復させ、それぞれの配置に就かせる。 そう言えば、こいつらの名前…まだ聞いてなかったな。 一応聞いておくか。 「なあ。お前達の名前は何だ?」 「え……?」 「名前だよ。名前」 どうでもいいが、こいつらやたらと”え……”が多いな。 理解力が足りないのか? 「俺は”サンチェス”だ」 先程から代表して発言していた男は、照れ臭そうにそう名乗った。 照れた意味が分からないが、その見た目で照れられると船酔いしそうだ。 サンチェスは黒一色の上下、金髪の丸坊主、一重の鋭い瞳で、全体的に厳つい。 身長も俺より一回り高く、如何にもな海賊だ。 その男が頬を赤らめ、モジモジしながら名乗れば… 俺で無くても船酔いしそうになるだろう。 …実際、それを見たマルシェが顔色を青くさせてるしな。
/493ページ

最初のコメントを投稿しよう!