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それは、昨年末のある日のことであった。
僕の妻の琴美が、忘年会で帰りが遅くなると言い残し出かけていった。
帰ってきたのは、日付が変わった深夜遅くであった。
琴美の勤務は、職業上、不規則になることがあるため、その時は、日付が変わって帰っても特に怪しいとは思わなかった。
ところが…年が明け、数日経過したある日、琴美の会社の同僚と名乗る女性から、僕の携帯に電話があった。
「至急お話ししたいことがある…」
と…。
僕はその日たまたま時間が空いていたので、その女性の待合せ場所へと向かった。
そして、会社の近くの喫茶店で、その女性と落ち合ったのであった。
僕に、そのような連絡をくれた女性は、みゆきといい、人妻で、僕の妻である琴美と同じ職場に働いているとのことであった。
喫茶店のテーブルで、みゆきは、白封筒から、プリンターで印刷した紙を数枚取り出し、それを僕に見せてくれた。
それを見た僕は、思わず驚愕してしまった。
一枚は、確かに琴美がその紙に写っていた…
が、その琴美は…
見知らぬ男性にエスコートされ、車に乗り込むところが描かれていた。
二枚目は、ホテルのような建物の中に、その車が入っていくところ、そして、三枚目が、琴美と男が、建物の入口の前で、佇んで、何か話しているところ、そして、もう一枚が…
その男が琴美の肩に手を回し、二人で入口からその建物の中へ入っていく…
僕は、いきなりこれらを見せ付けられ、目の前のみゆきを睨みつけた。
「いったい…これは…」
すると、目の前のみゆきは
「あたし、偶然見てしまったのです。忘年会終わってから、なんとなく琴美を見ていたら、ある男性と一緒になって歩き出したので、あたしも、その時は必死に後をつけたんです…そしたら…」
僕は
「そうなんですか…」
と、大きくため息をついた。
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