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『何か、ご用ですか?』  やんわりと少女のようなソプラノの声で問われ、しどろもどろ、というのがいいところ。ようやく男の口から出たのは『お茶しませんか!?』だった。  先程よりは時間も経って人通りが少なくなったとは言えまだまだ見物人も多い。口からやっと出たセリフの陳腐さに呆れて冷たい視線を投げかけられる。  ヤケになったのか、調子に乗ったのか…男は彼女の手首を掴み強引にでもこの場から移動しようと言葉を投げる。 『遅れるような子放っておきなよ』 『気が合えばそのあとどっか行こうよ』 『友達も都合が悪くなったんだよ』  口から出任せを並べ立て腕を引くが彼女は動こうとはせずに『やめてください』『離して』とだけ。  もう見所は通り過ぎたとばかりに立ち去っていく人々、既に夕方のラッシュも終わりに近く人は疎ら。  誰もが『自分には関係ない』と素知らぬ顔をして通り過ぎていくが…改札の向こうが妙に騒がしかった。  男が振り返ろうとしたと同時の事。 『人の連れに何してんの?』
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