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小さな呟きと共に、ぎいっと軋む音を立て地下室の扉が開いた。
乙女はゆっくりと振り向き、扉を開けた人物を見詰めた。
そこにいたのは、彼女の上司に当たる人物、ユアンだ。
彼女とは対照的に、身体中に筋肉の鎧を纏う武骨そうな男である。鋭く獲物を捉える三泊眼が彼の威圧感を助長させていた。
「御機嫌よう、ユアン」
乙女は細い脚で立ち上がると、自らのドレスの裾を摘まみ礼儀良く挨拶をしてみせた。
そして、興奮を帯びた口調で早口に言葉を続ける。
「そろそろ御仕事でしょう? 私、とても楽しみだわ」
「ふん。楽しみ、か。そうか」
いつもの低く、ぶっきらぼうな口調でユアンは返してやる。
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