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『…』
ずっとずっと、知っていた。
ずっとずっと、解ってた。
『あんたなんて、生まれてこなくてよかったのに。』
何度も何度も繰り返される音のある言葉、音のない言葉。流れ込む感情の波に逆らうことは、とうの昔に諦めた。
『もうあんたなんて見たくない、私の前から消えなさいよ!』
ついに放たれた言葉を掴んだまま、俺はただただ走った。
どこに向かうでもない、行く宛てなどない。俺がいるべき場所などないのだから。だから走るだけ走った。そこでどうなろうが、どうでもいい。
別に死んだらそれだけのこと。――――――そう思っていたんだ。
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