帰還

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俺は、何も無かったかのように、人混みに紛れ込んだ。 そして、そのまま学校に向かう。 まだ、時間に余裕はあったので、遅刻は無かった。 教室に入ると、視線が集中するのを感じた。 (はは。やっぱりな。だよな) 俺は、そのまま席に着く。 周囲は、ざわついていた。 まあ、久しぶりに登校したんだ。 当たり前かな。 すると何時もの奴が、ご機嫌な様子で声を掛けて来た。 「おやあ~。珍しいねえ~。パシリの龍君の登校ですか~?」 俺は自分の机の前に立った、数人の男子生徒を見上げた。 「ねえ~俺達さあ~。咽乾いちゃってんのよねえ~」 「何か買って来てくんない~?」 「断ったりなんか、勿論、しないよね~?」 そう言って、ガシっと俺の机を蹴る生徒。 俺は、周囲を見回した。
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