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「何を言ってるんですか。
貴方は、命懸けでその能力を手に入れたんでしょう?
決して、努力をしなかった訳ではないのでしょう?」
理事長の言葉に、俺は顔を歪める。
「まあ・・・・・・・そうですが・・・・」
「だったら、良いではありませんか」
そう言って、俺に笑顔を向けてくれた理事長に、俺は少し救われた思いがした。
反則技の記憶能力とか・・・何となく罪悪感を感じていたのかもしれない。
だが、理事長の言葉で少し楽になった気がした。
俺は頭を下げて言った。
「ありがとうございます。理事長。じゃ。俺は教室に戻りますね」
理事長は頷いて言った。
「ありがとうございました。藤堂君。助かりましたよ」
俺は頭を下げて、応接室を後にし教室に戻った。
教室では、自習になっており全員が席に着いてプリントをしていた。
奈々から鞄を受け取り、そのまま席に着こうとして溜息をついた。
俺のプリント?
ああ・・・・・・粉々です。
奈々も初めて気がついたんだろう青ざめていた。
俺はにっこり笑って、Vサインしてやった。
それで判ったんだろう。
ほっと息を吐いていた。
俺は粉々のプリントを手で握り締める。
そのまま、身体で覆う。
そして身体を起こした時には、机の上には綺麗なプリントがあった。
満面の笑みで俺の方を見ていた山田や野中達は青ざめた。
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