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周囲には多くの人達が歩いている。
皆、通勤・通学の人達だろうな。
あ。俺もそうか。
その中を、俺は周囲を見ながら歩く。
昨日までは、誰も居なくなってからか、極端に早い時間にしか俺は外に出なかったよな。
俯いて、背中を丸めて小さくなって歩いていたよな。
でも、今は違う。
俺は顔を上げて歩けるようになっていた。
そして、気がついた。
1人の女生徒を囲む数人の男子生徒。
ニヤニヤと笑いながら、移動して行く。
あの向こうは、通路だな。
あそこ・・・・・・暗いんだよな。
俺は溜息をつく。
面倒だよなあ。
周囲は、関わらないように見ないふり・・・・・・か。
さあて・・・・・・どうしよう。
今までの俺なら・・・・勿論素通りだよな。
うん。
けどなあ・・・・・泣きそうな女の子・・・・・・前の俺に重なるなあ。
「はあ・・・・・・・・」
俺は、溜息をついて歩き出した。
気配を消し、誰にも気づかれないように・・・・。
そう。
向こうの世界で培った技。
魔物に見つからないように、気配を消す事。
こんな所で役立つとはね。
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