転校

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「とりあえず生徒会室に行こう?手続きとか教えなきゃいけないこととかいっぱいあるんだ。」 「…あぁ」 そう言って斜め前を笑顔で歩く七瀬を見る。 相変わらず、俺と同じ顔。ただ、性格や雰囲気の違いで違うように見えるらしい。昔から明るくて優しそうな七瀬はかなりモテていた。反対に俺は目付きも悪かったからか、すごく恐がられていた。 きっと七瀬は今でもずっとモテているんだろう、と思っていると前から歩いてきた小柄な男子生徒が七瀬に話しかけた。 …頬を赤らめて。 「あっ…!か…会長様!こんにちは!!」 「こんにちは。」 七瀬がニコリと微笑みながら返すと、男子生徒は嬉しそうにさらに赤くなっていた。 あぁ、まさか…、 「七瀬…一つ、聞いて良い?」 「勿論だよ!何でも聞いて、綾瀬」 「…どうしてあの生徒は顔を赤らめたの。もしかして、ここは…」 「気付いた?そうなんだよ。確かさっきの子は僕の親衛隊君だよ。」 「…マジでかよ…」 こういう世界は知ってはいた。だって妹は腐女子だもの。 七瀬はがっくりと項垂れた俺の頭を撫でた。 「僕としては綾瀬が襲われないか心配。綾瀬可愛いから。あ、勿論襲われるっていうのは喧嘩じゃないからね?綾瀬なら意味分かるでしょ。何かあったらすぐに 僕に言ってね?」 「可愛いとか馬鹿なんじゃないの…俺はお前が一番危険人物だと思うよ、馬鹿、変態」 「照れちゃって可愛い!」 「…、頭を撫でるな。そしてさりげなく体を近付けてくるな変態!」 あぁ、すっごくこれからが心配…。 「綾瀬!ここが生徒会室だよ。」 「…あ、あぁ……ここが?」 目の前に現れた扉はまるで異界への入り口のような…言い過ぎました、ごめん。とりあえず凄い豪華だ。
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