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僕は首から聴診器をさげて廊下を歩いていた。そうしたら優ちゃんの病室の前に広ちゃん(ひろ)が立ってた。「どうしたの?広ちゃん」僕はかかんでそっと聞いた。広ちゃんはいつもと同じチェックのパジャマの上にオレンジ色のカーディガンをはおっていた。「優希姉ちゃん大丈夫?」つぶらな瞳がかすかにうるんでいる。僕は広ちゃんの頭にそっと手をおいた。 「心配で来たの?じゃあ、お元気ですか?って聞いてみようね!」 「うん」 僕は優ちゃんの病室のドアを開いた。 「優ちゃん、大丈夫?」 「うん」 優ちゃんは苦しそうに言った。そしてこわれちゃうんじゃないかって思うぐらいせきをした。 「優希姉ちゃん大丈夫?」 広ちゃんが優ちゃんにかけよる。優ちゃんはそっと手をさしだした。 「優ちゃんのこと心配して来たみたいだよ」 またせきをする。 僕は優ちゃんの背中をさすった。苦しそうに息をしているのがわかる。 「広くんありが…と…う」せきをしながらでも優ちゃんは微笑って(わらって)言う。 「早く元気になってね」 「うん」 僕はそんな優ちゃんをみていられなくてそっと言った。「広ちゃん、先生待ってるよ!」「うん」 広ちゃんはドアの方に走った。僕は、慌てて広ちゃんの手をとってふりかえった。 「優希姉ちゃんバイバイ」 「バイバイ」 優ちゃんは大きく手をふって笑った。 ドアをあける僕の耳にその声は痛いほどのこった。
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