1人が本棚に入れています
本棚に追加
その日の夜、私の病室で聖ちゃんと話した。
「高太にあったんだ」
聖ちゃんは窓をしめながら言った。
「うん」
私は頷く。
「こわかった」
「高太が?」
聖ちゃんはイスにこしかけて不思議そうに聞いた。
「うん」
「高太はこわくないよ。優しい奴だよ」
「でも広君、おびえてた」私のパジャマのすそをつかんでた。
聖ちゃんはかるく笑う。「広ちゃんは僕なんかよりずっと高太を信頼してるよ」私は、そっと顔をあげた。 聖ちゃんはすこし淋しそうな表情(かお)をして窓の外を眺めていた。
「高太はいつもずっと先を見てるんだ。ずっとそうなんだ。出会った時から」
私の顔を見てくすっと笑うーーーーーーそんな仕草になにか果てしないものを感じた。
「おはよう!広君!」
広君の病室で私は言った。 「おはよう」
ドアがノックされ昨日の男の人が病室に入ってきた。
私はおもわず座っていたイスから立ち上がっていた。 「なにやってんだ、おまえ」「なにって…」
私はその人の顔を見つめた。「遊びの時間じゃないんだけど」
「すみません。でも、どうしてそんなにきつい言い方をするんですか?私達、きのう会ったばかりですよ」
「そんなの関係ないだろ。第一おまえ病人だろ」
なんだかその人にすいこまれていく気がした。
最初のコメントを投稿しよう!