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その日の夜、私の病室で聖ちゃんと話した。 「高太にあったんだ」 聖ちゃんは窓をしめながら言った。 「うん」 私は頷く。 「こわかった」 「高太が?」 聖ちゃんはイスにこしかけて不思議そうに聞いた。 「うん」 「高太はこわくないよ。優しい奴だよ」 「でも広君、おびえてた」私のパジャマのすそをつかんでた。 聖ちゃんはかるく笑う。「広ちゃんは僕なんかよりずっと高太を信頼してるよ」私は、そっと顔をあげた。 聖ちゃんはすこし淋しそうな表情(かお)をして窓の外を眺めていた。 「高太はいつもずっと先を見てるんだ。ずっとそうなんだ。出会った時から」 私の顔を見てくすっと笑うーーーーーーそんな仕草になにか果てしないものを感じた。      「おはよう!広君!」 広君の病室で私は言った。 「おはよう」 ドアがノックされ昨日の男の人が病室に入ってきた。 私はおもわず座っていたイスから立ち上がっていた。 「なにやってんだ、おまえ」「なにって…」 私はその人の顔を見つめた。「遊びの時間じゃないんだけど」 「すみません。でも、どうしてそんなにきつい言い方をするんですか?私達、きのう会ったばかりですよ」 「そんなの関係ないだろ。第一おまえ病人だろ」 なんだかその人にすいこまれていく気がした。
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