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「ちょっ!帰んのかよッ!」 そう言って、海輝に手を捕まれた。海輝は空手を小さな時からやっていたらしいから、力が異常に強い。 今日は六時間授業でまだあと一時間は残っているのだが、俺には ――俺にはそんな事はどうでもよかった。 「あー、ナマケモノになる為の特別特訓してくるわ。じゃあ空也に宜しく言っといて」 「もうナマケモノだろッ!」 そうサボりを注意しなかった海輝は、この高校で初めて知り合った他の女子に比べて良く俺が分かっている。 「ナマケモノ特別部隊(タスクフォース)になってくんの、精々頑張れ委員長」 そう捨て台詞を残して放課で皆が会話に夢中なのを見計らって外へ出た。サボり成功だ。 家から近いという理由だけで選んだこの雪灘高校。 偏差値だって中の中で、中の中の上だった俺は少し勉強したら楽勝に入れた。 勉強だって強要されない、部活はほとんどの生徒が不参加という怠惰な雰囲気が漂うココは俺に合っている。 そうして保育園の頃から何一つ変わっていないこの寂れた町を自転車を引きながら歩いて、5分程度で家に着いた。
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