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「この事については…お前には関係ねぇ。余計な首を突っ込むんじゃねぇ」
土方は突き放すような口調で言った。
「関係ない…?」
「そうだ。」
そう言った土方の目は文句は許さない、と言っていた。
しかし桜は
「大切な人を殺されて…関係無いって言うんですか…?」
震えた声で土方に訴えた。
「……」
土方は何も言わない。
「それに、私だって新選組の幹部です!平助が知ってて、私が知らないなんて!」
「……」
「土方さん!!」
黙る土方に対して、ついに桜は叫んだ。
と、そんな空気の中に
「いいじゃないですか、土方さん。話してあげれば」
「総司!」
気配もなく副長室に入ってきた総司が、その場に似合わない呑気な口調で言った。
それに対して、平助は声を出しで制止した。
「だってさ、もう見ちゃったんでしょ?ならもう、隠す意味なんて無いと思いますよ。
それに、桜の性格だから、説明してもらうまでそこから動きませんよ」
と薄く笑いながら、総司はあっさりと言った。
「いつから聞いてやがったんだ…。」
それに対して総司は無言の笑顔で答えて、桜の隣に座った。
「ったく…、簡単に言いやがって」
そしてため息混じりに土方は呟き、桜の目を見た。
その目は確かに総司が言うように、教えるまで動かない、と主張していた。
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