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「あはは、本当だ。大きいたんこぶ。一君も桜には遠慮無いんだから。」
と言うと総司は桜に近付いてきて、たんこぶを突っついた。
「痛いっ!何すんのよ総司!!」
たんこぶを手で守ると慌てて桜は総司から離れた。
「ん?僕からのお仕置き。」
にっこりと笑い、総司は言った。しかし笑っているが、目が笑っていない。
「そ…総司??」
「ん?」
変わらない笑顔だ。
『目が笑ってねぇよ~!』
桜はその笑顔から、一の時と同じ怖さを感じていた。
「僕ね、すっご~~く!心配したんだよ。探しに行こうとしたのに誰かさんがもう一君が行ったから行くなって言うし。」
「はぁ……。」
ここは怒る点が分からない。
てか誰かさんって土方さんだろうな。私の後ろから怒りの雰囲気を感じるから。
「さらにやっと帰ってきたと思ったら、僕があげた着物は血で真っ赤だし」
「う……」
今日着てたのは、前に総司が誕生日にくれた着物だった。
「本当、酷いよね~。」
「うぅ……」
着物の事は本当に申し訳ないと思ってたから何も言えない。
「どうしたら許してくれる?」
これは自分が悪い、と感じる桜は総司に尋ねた。
「そうだね~……」
しばらく間をおいて……
「お団子」
「へ?」
「だからお団子食べに一緒に行こう。奢ってよ。みたらし団子がいいな」
桜は少しぽかんとした後
「……それでいいの?」
と一言聞いた。
「いいよ。許してあげる。二人で行こう」
「分かった。いいよ」
やけに二人が強調されてた気がするけど。
「じゃあ約束ね」
そう言って向けられた笑顔はさっきとは違う、優しい笑顔だった。
しかしその時に斎藤から、不機嫌そうな黒い空気が出ていたのは土方以外は気付いていなかった。
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