拾壱

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「山南さん!山南さん!!」 「ぐ……うぅ……」 何度目か叫んだ時、山南は叫ぶのを止めた。 『落ち着い……た?』 恐る恐る山南へ近付く。 「山南さん?」 小さく彼を呼ぶ。 しかし― 「キャッ!!??」 山南は千鶴を鋭く見つめて、驚くべき速さで千鶴の首に手をかけた。 「あっ……ぐ……」 「ククククク……」 苦しむ千鶴を見ても、山南は不気味な笑いを漏らす。 彼は羅刹の血に負け、狂ったのだ。 『殺される!』 千鶴は狂気に満ちた山南の目と視線が合い、そう感じた。 真っ赤な瞳に、以前の山南の優しい光は一筋も見えない。 そんな目に恐怖を抱いた。 ―その時 「何してんだ山南さん!!!!」 騒ぎに気付き、駆け付けた土方の叫び声が広間に響いた。 「そいつを離せ!!!」 「ククククク……」 乱入してきた土方の方を見ながらも尚、千鶴からは手を離さない。 「くそっ!!!」 「土方さん!」 「何があった!?」 他の幹部達も騒ぎに気付いたようで、次々に駆け付けてきた。
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