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「山南さん!山南さん!!」
「ぐ……うぅ……」
何度目か叫んだ時、山南は叫ぶのを止めた。
『落ち着い……た?』
恐る恐る山南へ近付く。
「山南さん?」
小さく彼を呼ぶ。
しかし―
「キャッ!!??」
山南は千鶴を鋭く見つめて、驚くべき速さで千鶴の首に手をかけた。
「あっ……ぐ……」
「ククククク……」
苦しむ千鶴を見ても、山南は不気味な笑いを漏らす。
彼は羅刹の血に負け、狂ったのだ。
『殺される!』
千鶴は狂気に満ちた山南の目と視線が合い、そう感じた。
真っ赤な瞳に、以前の山南の優しい光は一筋も見えない。
そんな目に恐怖を抱いた。
―その時
「何してんだ山南さん!!!!」
騒ぎに気付き、駆け付けた土方の叫び声が広間に響いた。
「そいつを離せ!!!」
「ククククク……」
乱入してきた土方の方を見ながらも尚、千鶴からは手を離さない。
「くそっ!!!」
「土方さん!」
「何があった!?」
他の幹部達も騒ぎに気付いたようで、次々に駆け付けてきた。
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