拾壱

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「おい」 朝になり、土方が二人の元へやって来た。 「土方さん!!」 「山南さんは!?」 「落ち着け」 あくまで土方は冷静だ。 「峠は越えた……。とりあえず今は落ち着いている」 「そっ……かぁ~!」 「良かった……」 平助は心から安堵し、桜は涙目になって山南の無事を喜ぶ。 「こっちはどうだ?」 「あぁ。千鶴ならただ気を失っただけみてぇだ」 「そうか」 わずかに土方の声に安堵の色が含まれる。 しかしすぐに態度を改めて 「それから、今から幹部で話し合いをする」 「伊藤さんがいねぇのにか?」 伊藤は出張へ行っていた。 「いねぇからだ。今後の山南さんについて話し合わねぇと」 「あ……」 桜は、はっとした顔をする。 伊藤には羅刹について何も言っていない。 そのため山南が羅刹になった今、伊藤にどうやって山南の事を隠すかを考えなければいけない。 「広間に来い」 あんな事があったすぐ後に、出来れば行きたくないが、桜と平助は土方に続いた。 桜は部屋を出る前に、千鶴に心配の目を向けたが、静かに襖を閉めた。
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