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広間に全員が揃うと、嬉しそうに輝いた笑顔をした近藤が
「皆も家茂公が上洛されるという話は聞いていると思う。その上洛に伴い、新選組に二条城の警護の任に当たるべし……との要請を受けた!」
と声高らかに言った。
その言葉に歓声が上がる。
新選組の今までの働きが認められたという事だからだ。
そして近藤は一呼吸置き
「それに伴って、隊士の編成を考えたいと思ってな」
と集めた目的を話す。
しかしその時
「あぁ、悪いが近藤さん。総司は風邪気味みてえだから外してやってくれねぇか?」
と土方が言った。
「本当か?大丈夫か総司?」
心配そうに沖田を見る。
「大丈夫ですよ。土方さんは大げさすぎるんですよ」
「大丈夫じゃねぇだろ。さっきだって変な咳しやがって」
飄々と言う沖田に、呆れながら土方は言う。
そしてさらにもう一人
「近藤さん。俺も……外してくれねぇかな?」
先程から一人だけ浮かない顔をしていた平助だ。
「なんだ?平助も風邪か?」
残念そうに近藤は言う。
「あ……、はい。……すんません」
「あぁ、いや、体調は大事だ。しっかり治せよ」
近藤は残念そうだったが、優しく平助に言った。
しかし平助は変わらず浮かない顔だった。
そんな平助の隣にいる桜はその横顔を、なんとも言えない複雑な表情で見つめていた。
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