拾弐

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広間に全員が揃うと、嬉しそうに輝いた笑顔をした近藤が 「皆も家茂公が上洛されるという話は聞いていると思う。その上洛に伴い、新選組に二条城の警護の任に当たるべし……との要請を受けた!」 と声高らかに言った。 その言葉に歓声が上がる。 新選組の今までの働きが認められたという事だからだ。 そして近藤は一呼吸置き 「それに伴って、隊士の編成を考えたいと思ってな」 と集めた目的を話す。 しかしその時 「あぁ、悪いが近藤さん。総司は風邪気味みてえだから外してやってくれねぇか?」 と土方が言った。 「本当か?大丈夫か総司?」 心配そうに沖田を見る。 「大丈夫ですよ。土方さんは大げさすぎるんですよ」 「大丈夫じゃねぇだろ。さっきだって変な咳しやがって」 飄々と言う沖田に、呆れながら土方は言う。 そしてさらにもう一人 「近藤さん。俺も……外してくれねぇかな?」 先程から一人だけ浮かない顔をしていた平助だ。 「なんだ?平助も風邪か?」 残念そうに近藤は言う。 「あ……、はい。……すんません」 「あぁ、いや、体調は大事だ。しっかり治せよ」 近藤は残念そうだったが、優しく平助に言った。 しかし平助は変わらず浮かない顔だった。 そんな平助の隣にいる桜はその横顔を、なんとも言えない複雑な表情で見つめていた。
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