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「お待たせ、大翔」
数分後。荷物を置いてきたらしい莉乃が僕の家の前に戻ってきた。彼女は相変わらずの制服姿。本当は莉乃の私服も見たかったけど……まあ、下手に私服になられて露出が少なくなるよりは断然いい。
どうしても、視線は彼女の太ももに注がれてしまう。
「あ、じゃあ行こうか」
急いで視線を莉乃の瞳に移し、僕は踵を返そうとする。そこで、とある疑問にぶつかった。
「ところで莉乃。僕が引っ越してからこの家は誰が住んでたの?」
問い掛けると、莉乃は少しだけ思考を巡らせたあと口を開いた。
「えっと……わたしはあんまり面識なかったけど、3人家族が住んでたみたいだよ。そのうちのひとりは、わたしたちと同年代の女の子だったかなあ」
この家は僕の家族が引っ越したあと、別の家族が住んでいたらしいことは父さんからの事前情報で知っていた。何でもその家族が実家へ帰るという理由でこの家を手放したのを父さんは見逃さなかったようだ。
「へえ、そうだったんだ」
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