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同年代の女の子ということは少なくとも高校生である可能性が高い。現役女子高生が住んでた家……不覚にもオヤジ的発想が止まらない。
「だからわたし、入るのは本当に久し振りだよ。早く行こ?」
「うん。どうぞ」
玄関の扉を開け、中へ。引越し業者に荷物を運んで貰ったときも感じた、僕がこの家を出るとき以上の清潔感。「立つ鳥後を濁さず」を体現しているようで、心地がいい。
「お邪魔しまーす」
莉乃も僕に続く。僕は一足先に靴を脱いで、懐かしい我が家を目に焼き付けるようにして見回した。
「意外と綺麗だね。前に入ったときよりも……かな?」
「はは、そうかも。そうだ莉乃、ちょっと段ボールを片付けてくるからその辺に座って待っててよ。でもお菓子とかジュースとか買ってないな……」
「あ、大丈夫だよ。せっかくだからちょっとコンビニまで行って買って来る?」
「うーん、でも」
言うが早いか、莉乃は結われた髪を揺らしながら玄関へ駆けて行った。そして、心底嬉しそうに微笑む。
「せっかく大翔が帰ってきたんだもん。お祝い、しなくちゃね?」
僕の制止も虚しく、彼女は「行ってきまーす!」と元気よく家を飛び出していった。
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