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……正直、言われたときは思わず耳を疑った。
けれどまあ、これが父さんなりの『可愛い子には旅をさせよ』なんだろうなあと考えようやく理解するまでに約1週間。そこからはあっという間だった。ほとんど有無を言わせない雰囲気だった父さんは僕が決断するとニコニコしながらあれこれ手配してくれ、今に至る。
そういえば、父さんも昔ひとり暮らしをしていたらしい。まあ、これが我が家の教育方針なのかなと思うと、今後の暮らしも楽しめそうだった。
でも、やっぱり恥ずかしい。小学生時代の同級生と再会するとなると、それなりに緊張するし……女子とか、どうなってるんだろうなあ。
と、僕が空を見上げながらあれこれ想像を膨らませていた、そのときだった。
「――ひろ、と?」
不意に聞こえた声。まだ若い、女性の声だ。
声の主は間違いなく僕の名を呼んでいた。思わず振り返る。
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