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~3~
彼方がお客様に対応している間に、私は応接室で書類等を準備していた。
今思えば、彼方に頼まず私が対応すべきだったか。
いや、彼方に書類の準備を任せるほうが怖い。
そんなしょうもないことを考えながら、機械的に仕事をこなしていると、扉をノックする音が聞こえる。
私が書類をまとめ、返事を返すと、彼方と一緒に大人びた女性が入ってくる。
おしとやか、という形容詞の化身といった感じだけど、その目には憂鬱が浮かんでいるようであった。
うはー、面倒っぽいなぁ。
机を挟んで私の向こう側にある椅子を引いて彼女を座らせた彼方は、私の隣に座った。
「あなた方がこのお店を経営していらっしゃるのですか?」
彼女は疑いのような眼差しで言う。
それもそのはず、我らが藁家のメンバーは基本的に六人。
そのうち五人が年齢的に高校生で、1人は中学生である。
時折サポートメンバーが入るものの、今藁家にいるのは高校生の私と彼方だけ。
普通の人なら当然の反応である。
「えぇ、まぁあと四人いますが」
曖昧な笑顔で彼方が答える。
「はぁ、ご苦労なさってますね……」
例に漏れず、彼女も心配そうな表情である。
最早この対応にも慣れたものだ。
いたって簡単。
仕事の手際で証明すればよい。
「では、早速ご依頼のお話に入りましょうか」
無駄話も面倒なので私はクイとメガネを直し、話を切り出す。
さぁさぁ、どんな依頼が飛び出すのかしら。
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