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私は言った。
「おれの部下が演習中に倒れて刀を曲げたので交換して欲しい」
「判った」
彼は早速奥へ消え、再び帯剣をさげて戻って来ると私に渡してくれた。
私は、発着所には入院する兵隊が携帯の剣銃を預け、更には戦病死した患者の武器が置いたままになっているのを知っていた。
私はすでにアンダマンへ行くと判っていたので、アンダマンへ行くようだがそこはどんな所かを尋ねた。
「えらい所へ行くんだな、アンダマンは物資輸送船が沈められ食料不足で食う物も無く、赤痢やマラリアなどの風土病に冒されて、生きて帰った者も無い島だよ。死にに行くようなものだ」
「仕方がない、これも運だ。君ともこれでお別れだ、さようなら」
そう言って私は兵舎に帰り、上杉一等兵に刀を渡し、貰ってきたから元気を出せよと彼を慰めたが、これが一件落着とはならなかった。
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