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四月九日、昭南桟橋に停泊中の輸送船二艘の内、松川丸三百噸に乗船した。
午後五時、救命胴衣を身にしっかり着けて、魔の印度洋に向けて出航した。
船団は我々の乗る松川丸と天城丸、キャッチャーボード一隻に、これを駆逐艦と駆潜艇四隻が護衛していた。
いざの時海へ飛び込めるよう皆は甲板に出ていたので、煙突から吹き出す石炭の黒い煙に悩まされ続けた。
船はいっぱいの食糧を積み込み喫水線を沈め、島伝いにのろのろと蛇行していた。
敵の潜水艦の待ち受けているマラッカ海峡ダイヤモンド岬も無事過ぎた。
ここは広島部隊が沈められた場所で、いつの間にか護衛の飛行機一機が頭上を旋回していた。
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