5.アンダマン

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「おお、アンダマンだ!」 誰かの声に皆が前方を凝視している時、 「敵の魚雷だ!」 監視兵の叫ぶ声に船内はパニック状態に陥って、船は大きく迂回した。 水面に見える三筋の雷跡を目掛けて、飛行機から盛んに機関銃を撃っていた操縦士は、次々走ってくる魚雷に当たらず、自ら魚雷へ体当たりした。 爆音とどろく中、機体は魚雷と共に空中分解した。 助かったのだ。 私は感激して心から彼の冥福を祈った。 後で判ったがこの操縦士は北海道出身の陸軍石川曹長で、後日天皇へ報告され少尉に特進された。
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