5.アンダマン

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四月十四日午後二時、私達は無事アンダマン島に上陸し、直ちに荷揚げ作業が始まった。 敵機の襲来を警戒しつつ一刻も早く荷揚げを完了すべく、先に来ている歩兵部隊の応援を受けて一生懸命に作業している内に日も暮れた。 辺りが真っ暗になって、物資は私達の宿営地に運ばれないで、ほとんど他の部隊へ運ばれていることに気がついた経理班の寺内軍曹は応援を断り、運び終わった時は半数以上盗まれていた。 私達はまだ食糧欠乏の島であることを実感していなかったのだ。 水田が猫の額ほどしか無いこの島で、住民の他沢山の兵隊の口を満たすにはとても足るはずが無い。 いくら昭南野戦貨物厰(しょう…屋根だけの建物)から輸送されても、途中沈められ一粒の食糧すら届かないここでは食糧不足も当然てある。 私達はやっとバラック建ての兵舎に着いて、その夜は熟睡した。
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