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『ねぇ、ここはどうだい?』
「・・・!?」
突然聞こえた声にアーテルは目を開いた。
そこは何もない空間で、上も下も、右も左もわからないようなところだった。
「誰・・?誰なの?」
『私はルレーヴ。この領域を支配する者さ』
「・・姿ぐらい、見せても良いんじゃないかしら?」
『私の姿を見たいのか?』
「人と話すときは、顔を見て話すのが基本よ。それができないなら、あなたは臆病者ね」
『臆病者のレッテルを貼られるのは嫌だな。いいよ、姿を見せてあげる』
ふわり。
アーテルの目の前に男が現れた。
男は右目に眼帯をし、不敵な笑みを浮かべながらこちらを見ている。
「意外とふつうね」
『そうかな?あまり驚いてもらえなくて残念だよ』
「そう?私は読書家だから、いろいろな展開を文字で見て知っているの。だから、それで大体の背景想像できちゃうわ」
『そうか』
「それで、私に何か?こんな変なところに連れてきて」
『私が連れてきたのではなく、私がここに来たんだ』
「・・・どういうこと?」
『つまり、ここは君の夢の中さ』
「・・・・・・」
『私は夢魔だからね。他人の夢に入り込むなんて、朝飯前・・ごはっ!!』
アーテルはルレーヴの膝裏に蹴りを叩き込んでいた。
その顔は陰鬱としている。
『ま、まだ話の途中だろう!』
「人の夢に土足で許可なく入ってくるなんて、最低ね」
『だ、だからそれは私が夢魔だからであって・・』
「問答無用」
『え?ちょ、うわぁ~!!!』
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