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パンデュルが声を上げると、良く似た男二人が剣と斧を持って現れた。
二人はラパンに向かって武器を振り下ろす。が、ラパンはそれを紙一重でかわし、持っていた時計を拳銃に変え、発砲した。
「パンデュル、こいつむかつくよ」
『時計屋、こいつ殺していいんだよね?』
「構わない。ただし、殺していいのはこのうさぎだけだ」
「俺、右側でいいよアニマ」
『じゃあ僕は左側にするよヴィータ』
「あ、あの人たちは・・・?」
「あぁ、この塔の番人ですよ。双子の役持ち。ジェメッリ=ヴィータとジェメッリ=アニマです。まぁ、たいして役には立っていないようですがね」
「うるさいうさぎ。耳ちょんぎってやる」
『刀の錆にしてやるー(棒読み)』
「錆になんかされませんし、耳も切らせません。あ、それではアーテル!僕はハートの城にいますから、ぜひ来てくださいね?城に滞在してくれてもいいですからね!」
そう言うと、ラパンは大きな窓から飛び出して行ってしまった。
明らかに一階ではない場所から飛び出したラパンに驚き、アーテルは思わず窓から顔を出した。しかし、下では元気そうなうさぎ(耳をつけた男)が走って行くのが見える。
「・・・・・・・」
「ちっ。逃がしたか」
「ここ、一体どうなっているの・・・?こんな高さから飛び降りたのに、無事だなんて」
「あいつはうさぎだからな。これぐらい訳ないだろう」
「・・・・・」
「ねぇねぇ、お姉さん」
「え・・・?」
アーテルが振り返ると、先ほどの男二人が立っている。
「もしかしてお姉さんは『アリス』?」
『『アリス』なの?』
「え?私はアリスじゃないわ。私はアーテルよ。アーテル=マリエ」
「・・でもお姉さん、『余所者』だよね?」
「よ、よそもの・・・?」
「お前、この景色に見覚えも何もないだろう?」
パンデュルが口をはさんだ。その問いにアーテルは頷く。
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