ダークの国のアリス

8/24
前へ
/24ページ
次へ
三人と別れたアーテルは教えられた道を進んで行った。 すると、目の前に大きな城が見えてきた。 「この、お城・・・?こんなところに本当にあのコスプレ男がいるのかしら・・?」 アーテルはずかずかとその道を進みだした。 広大な敷地が、まるで城を遠のかせているように感じる。 「・・!アーテル!!来てくれたんですね!!ここに滞ざ、ぐはっ!!!」 いきなり飛んできたラパンの膝裏に、相変わらずアーテルの膝が叩き込まれる。 アーテルは二度、三度とそれを行った。あまりにも蹴りをくらったラパンは、その場に崩れ足をさすっている。 「い、痛いです・・・ひどいです・・こんないたいけなうさぎに、なんて仕打ち・・」 「なんて仕打ち、を言いたいのは私の方だわ・・・。あんたが飲ませた変なもののせいで、帰るための鍵の場所を私が忘れたって、パンデュルが教えてくれたわ」 「・・うう。そんなことまで言ったんですかあの時計屋・・・」 「親切な人だったわ。あんたみたいなコスプレ男と違ってね」 「コスプレって・・・僕はコスプレなんかしてませんよ?正真正銘、かよわいうさぎさんです」 「何が正真正銘よ・・・」 「・・もしかして、落ち込んでます?」 「当たり前でしょ!?これが落ち込まずにいられるか!!」 バシィッ!!!! 「いった!!痛い!痛いです!!」 「・・私、これからどうしよう」 「・・ですから、ここに滞在してください。その間に、鍵を探せばいいんですよ」 「・・・あんたが言えた義理か」 「あれ?こんなところで何をしているんだラパン」 「・・・げ」 「・・・?」 どこからともなく聞こえた声に二人が振り向くと、そこには腰に剣を携えた赤いコートを着た男が立っていた。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加