きおくノート

10/15
前へ
/15ページ
次へ
■□■□■□  昼休み、購買部でメロンパンと牛乳を買って昼食を取った。窓際の席は日差しは強いけど風が抜けて心地いい。  うろこ雲が遠くに見える。今日は大丈夫そう。  小銭入れを振ると、100円玉のチャリチャリとした音が鳴った。昨日払った600円が効いてる。焼きそばパンは食べられなかったし、今日は負けられない!  いつも通り終業と共に競争して、アイスを食べて、馬鹿話して......  そう思っていた。  昼休みの終わり間際 「バカ......」  涙を零しながら真帆が飛びついて来た。 「真帆どうしたの?」  真帆の背中をさすってやると、ポロポロと涙を落とし小さな声で吐き出す叫び。 「出てっちゃった......」 「誰が?」    宥めると、真帆は私の体を強く握りしめた。背中にコツっと当たる感触で誰だか分かった。四角いノートの感触「きろくノート」  今日が真帆の日で、その前が...... 「ねぇ、亜紀!」  視線を送ると「分かってる」とだけ言い、亜紀はすぐに走り出した。 「こう言う時こそ俺の出番だろ!」  長太郎が制服のボタンを緩め、仮面ライダーの変身ベルトを巻き、亜紀の後を追い駆ける。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加