きおくノート

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■□■□■□ 「記録ノート」  善司がそう言って、持って来たのは1冊の大学ノート。  私達がチームを組んでまだ半年くらいしか経っていない頃だった。  私達はいつも立ち寄るコンビニで紙パックのジュースを買って、私はストローから中身が引っ張りだされるの見ながら歩いていた。  いつも喋らない善司は珍しく饒舌で、星の話でもないの真剣だった。 「だから、必要だと思うんだよ。これからの僕らには......」   だけど、真っ白な肌から放たれるそれは電磁波みたいに弱々しくて、私の視界に差し出されたノートが震えていた。 「必要性を感じないけど」 「同意」  亜紀と真帆が失笑気味に視線を送くる。この頃のチームはぎくしゃくしていた。初等部での成績や職種、スキルなどのカテゴリー別ではなく、ランダムに編成されたチームにみんな苛立っていた。お互いの主義主張が違いすぎた。みんな自分中心に作戦方針を組み立てたり、技能科目専攻しようとしていた。それが悪い方にばかり回り、お互いを非難するようになってしまっていた。  善司の行動は、更に他のみんなを苛立たせる予感があった。このチームは終わりだと、そう思っていた。 「ヒーローに仲良しごっこは要らないぜ、必要なのは戦友だ。交換日記は必要ない」 「和美はどう思うの? もちろんリーダーとして」 「私は......」
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