きおくノート

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 あの時の私は疲れていた。まとまらないチームをどうするか、どうしたら1番でいられるか、その為にリーダーとしてどうあるべきか、誰の意見を汲取りまとめるのか......  正直、こんなノートでは何も変わらない。余計チームが乱れるものだと、そう確信していた。ただこのままだと、善司はスケープゴートにされるのではないか、更に足を引っ張られチームとして落ちてゆく不安、それをどう解決するかだけが焦点だった。 「あっ...私は......」 「『人生はチョコレートの箱みたい、って。食べるまで中身は分からない』ってね」  割り込む形で想一は目の前のノートを引っこ抜いた。そのまま鞄からマジックを取り出し「きろく」とでかでかと書くと満足気に突き出して、みんなの足を止めた。 「いいじゃないか。これはただの記録、ノートを毎日当番で回してその日あった好きな事を書く。訓練の事でも愚痴でも文句でもなんでもいい。ただ善司君の言う通り、誰もノートの内容に文句は言わない、何も書かないってのもなし。ただの記録なんだから。面白いじゃないか、僕は彼に賛成だね」    想一は1ページ目を開き何やら書き込み、終えると「明日は君が当番」と言って善司にノートを放り投げた。
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