プロローグ

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焼けつくようなモーター音と、風圧による揺れ。 「状況は?」 俺は隣に座る警察官に尋ねた。 いま居るのは東京の某銀行の上空、ヘリコプター機内だ。 何でも、銀行を4人組の男が占拠しているらしい。 「犯人は全員銃で武装していて、一人が出入り口、二人が人質の監視、残りのリーダー格の男が窓口付近に居ます。現金と逃走用の車を要求していて、交渉人がなんとか掛け合ってはいますが・・依然硬直状態です」 こういった"仕事"は初めてではない。故に緊張もしない。まぁ、例え初めてだろうが大抵の事では緊張も動揺もしないんだが。 「説明ご苦労さん。んじゃ、後は俺に任せとけ」 そう言って思い切り扉を開ける。途端に風が轟音をあげながら機内に吹き込んできた。 「あの、防弾ジャケットとかそーいうのは着ないんですか?それにパラシュートは・・」 ちなみに今の俺の出で立ちは上下を共に漆黒のスーツ姿。 まぁ、色々疑問に思うのも無理はないだろう。 「このままで大丈夫だよ。んじゃ行ってくる!」 そう言って何も持たぬまま足を思い切り踏み切り、上空へと飛び出した。
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