始まり終わり

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マンションのエントランスの前にも人だかりができていた。 「おい…皆どうしたんだよ」周りの奴に恐る恐る尋ねると、 「俺にもわからねぇんだ…上見ても何もわかんねぇし…」俺と同い年くらいの奴が答えた。 「「……あ…」」俺たちはその光景に言葉が出なかった。 空を飛行船が飛んでいる。その飛行船に_______ 『これより、日本国政府は本日をもって活動を休止することをここに宣言しよう。つまりこれ からは…裁判所も動かないわけだ。だから、誰も裁けない。まあ、犯罪という意識は無くな る、ってとこかな。ところで我々政治家は、海外に散らばることになった。これに公務員を含 むことはない。ああ、それから、君たちがこれから海外…つまり日本国外に逃亡を図った場 合、それに相応する罰を受けてもらう。俗の世にいう、生き地獄ってヤツさ。おお、もう離陸 まで時間がない。じゃあ、頑張りたまえ。期待しているよ。』 この国の首相、福井博正がそう言ったのだから、冗談ではないだろう。 俺の身体中は汗をかきまくっているのに、心だけは不思議と冷静だった。 俺は最後の福井の言葉がやけに気になった。
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