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その時何か気配のようなものを背中に感じた。
「……?」
吐く息が白くなる様な冷たい夜だからこそ在る暖かさが、気配として浮き彫りになる。
先生が俺の歌に気付いて叱りに来たのだろうか。
そんなことを考えながら振り返るとそこに立っていたのは予想もしない人だった。
「え……?」
見た事の無い女の人だった。
いや……人ではなかった。
その人は空中浮いていた。
何の支えもないままに、その人は孤児院の屋根からほんの少し離れた所に佇んでいた。
人間ではないと幼い俺はそう決め付けた、幼い自分の拙い知識では『人間にそんな芸当ができるはずがない』っと思っているからだ。
勿論今の自分ならばそんな考えはない、魔法を使えばそんな芸当簡単に出来るからだ。
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