第一小節 プロローグ

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今まで、他人に自分をほめてくれた大人はほとんどいなかった。 周りの人間にとって俺は気味が悪い存在であったからだ。 生まれ持って強大な魔力を無意識のうちに使ってしまい、周りの子供……さらには魔力の素養のない大人達に恐怖心を植え込んでしまっていた。 幼い子供に限らず15、6歳のまでの子供は自分達と少しでも違う存在を排除しようとする。 俺は格好の標的と言う訳だった、唯一の救いはいじめは肉体的いじめは受けなかったという事だった。 『お前の歌……良かったぞ』 それがその女性の本心から言われたものである事は何故かはっきりと分かった。 「あ、ありがとう、お姉ちゃん」 俺は少し照れながら人生で初めてであろう礼を言った。 その後少しその女性と話をした。 他愛のない話をだ……例えば自分の髪と瞳のせいで良く女の子に間違われるとかそんな意味のない事を話した。
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