サイダー

2/9
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
炭酸系の飲み物は、昔から嫌いだ。 シュワシュワと口の中で泡立つあの感触で、舌がひりひりする。 だから、苦手…。 「けほっ…」 好きな人に告白して、振られて、苦手な炭酸飲料をヤケになって一気飲み…だったはずが、口に含んだ瞬間に蒸せて咳き込んだ。 炭酸のツーンとした刺激と、舌のひりひりする感触にジワリと涙が滲み、目の前が少し霞む。 ……もう、最悪。私、ちょー惨めじゃん。 ゴシゴシと涙を拭い、再び缶の飲み口に唇をつけようとしたとき、すっ、と缶を誰かに奪われた。 誰よ?と、相手を睨みつけるように見上げると、そこには… 「サイダーじゃん。俺にも一口くれよ」 色白のすらっとした手で缶を持つ、クラスメートの小菅(こすげ)くんがいた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!