…過去話等_

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「………大臥…これでいいのですか…?」 「…あぁ……上出来だアーリ………流石だ…」 力を振り絞り、弱々しく手を動かす。 その手の中にはピアスと片眼鏡。 「………これ…あいつにやってくれねぇか……?」 「………ピアスと片眼鏡…?これは貴方の……」 「…どうせ…助かりはしねぇ……俺でも分かるわ……下半身……繋がってねぇ…だろ…?」 主の体にはどこから落ちてきたのか、大きな柱が。 その柱の所々には赤い液体と肉片。 「そうだ………あいつは…?無事か…?」 "あいつ"。 主の言う"あいつ"とは妻の事。 無惨にも、妻だったであろう肉片が主の隣に散らばっている。 恐らく柱が直撃したのだろう。 飛び散る肉片に綺麗な藍色の髪の毛が混ざっている。 「…貴方の隣で眠っています。」 「……そう……か……じゃあ俺も……行かなきゃ…だなぁ…」 「……大臥」 「…ありがとなアーリ……これで契約成立だ。 あん時言った通り…俺の命くれてやる…いいか…俺の願いはー…………」 「親父っ……お袋っ……」 息も絶え絶えに外に出た少年は、何かを大事そうに握り締めていた。 「………どうか無事で…」 その言葉と同時に青い光と爆発音が辺りに響く。 さっきまでいた家は 今まで暮らしてきた家は 跡形もなく崩れ去っていた 「……っ父さん……母さん……!」 少年の手には 1枚の写真。 『俺の願いはー……あいつが… 式部が幸せでいてくれる事だ ………だからな………お前… あいつの事守ってくれ。 あいつが幸せでいられんなら… …俺も幸せだわ。 だから……頼んだぜ、相棒。』 写真には、笑顔で写る親子3人の姿。 「……その願い、聞き入れました…… 我が友、鳳来 大臥。」 END.
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