▼神森参加キャラ_…準備中

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「…そう…か?」 「やだなぁ泥さんってば照れちゃってー!」 彼女は、亡くなった父親・妹・弟達の話を良くする。 さも今もいるかのように。 「こうやって話してないとね、私の中からいなくなっちゃう気がするんだ。…それが怖いの」 「…お前は偉いね、いい子だ。」 優しく撫でてやると、ふわりと柔らかい髪の毛が手の平に広がる。 これが、人間の髪の毛… ほんのり熱が伝わってくる。 …暖かい。 頭を撫でられるのが気に入ったのか、来るたびせがむようになっていた。 ………悪くはない、が。 「あのね、じょうだ。お話があるの。」 その日は突然やってきた。 「じょうだ?何の暗号だ?」 「ん?あなたのお名前!私が付けたの!どう?気に入った?」 「……名前…」 「あ、そうだ!なんかね、村の人達がみんなここを出るんだって」 「村の人々が…?」 話によると、要は化け物が住まう村には住めないと、村の大人達が決めた事らしい。 姿形は見えないが、いつか襲ってくるだろうと。 ならばこちらから出てやろうと。そう言う話だそうだ。 「私は、出て行きたくないなぁ」 「お母さんを1人にするつもりか?」 「…みんないなくなっちゃったら、あなたも1人じゃない」 「……1人は慣れている。 …ほら、お行き。」 次の日から、桜の姿はどこを探しても見つけられなかった。 村には人の気配すらなく、葉桜だけが音を出して揺れていた。 「桜、お前の父や妹・弟の魂は…儂が弔ってやろう。 いつかお前がここに戻るまで、この桜は枯らせはしない。」 何日か後、ふと村にやってくると、村中の桜の木が全て切り落とされていた。 様子を見に戻った村人達がやったのだろう。 そしてさらに何日か経った後、泥田は埋められていた。 帰る場所が無くなってしまった。 奪われてしまった。 だが、人間は嫌いになれない。 彼女のような、暖かい心を持つ者もいると知ってしまったから。 『ねぇじょうだ!春になったら、一緒に桜を見ようね!』 『…あぁ。』 ENDimage=456358939.jpg
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