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これが大きな違いか、
俺には終わりがない。
はじまりがあったのかも分からない。
はじまりが無いから終わりも無い。
これが神に背いた罰と言うやつか。
「…なぁお前さん、俺と一緒に来ないか?」
「…………は?」
「お前さんはいつも同じ場所に立って同じ場所を見て嘆いてる。
だったら…お前さんが悲しまないような場所に連れてってやるよ。…どうだ?」
「…そんな場所はあるのか?
人間は常に新しいものを求め、そして大切なものさえも簡単に壊していく…そんな奴らに変わらぬ場所などつくれるものか」
「人間ってね、確かに弱くてズルくて単純で脆いけど、相手を思う温かい心を持っているんだ。
お前さんはまだ分からないだろうけど。」
「……俺の悪魔名はアガレス。
いいだろう…ソロモン王、アンタの言葉を信じてやってもいい。」
「本っ当にお前さんは素直じゃないねぇ」
「煩い。」
変わらぬ場所。
そんなもの人間に作れるはずが無い。
「…分かっただろう。アンタ達の一生は短い。
変わらぬ場所なんて無理な話なんだ。」
そんな事は分かっている。
『人間にとっては短い一生が変わらない思い出になるんだよ』
まだ、俺には理解し難い。
なぁソロモン。
もっとアンタ達の事教えて欲しかった。
「ー…どうしてすぐにいなくなってしまうんだ。」
『そうだ、これからお前さんの事は"アガレス"じゃなくて"フリューゲル"って呼ぶよ!』
『何故だ。』
『……なんとなく?』
『馬鹿か。』
END_
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