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-パン、パン-
乾いた銃声が響いた。
そして目の前の男が倒れる。
マックはハッとして後ろを振り返った。
するとスティーブがリボルバーを構えて立っていた。
「…大丈夫か?」
「…あぁ、すまない。助かった」
マックは酷く疲れた様子で返事をした。
スティーブに手を借りながら立ち上がると、マックが呟く。
「…何だってんだよ」
「分からないが、とにかく普通じゃないな。…見ろよ」
スティーブがマックに倒れた男を指差す。
見るとマックが撃った箇所からも、スティーブが今撃った腹と額からは全くと言って良いほどに血が出ていなかった。
「何で全然血が出て無いんだ?」
「分からないが、後は鑑識班の担当だろ。さっさと車に戻って応援要請と報告、それにこのアパートの住民の聞き込みを終わらせて戻ろうぜ」
マックの言葉にスティーブがおどけながら話す。
「…そうだな」
しかしマックは疑念が晴れなかった。
(撃たれても動じないとか、化け物か?いや、人を食べてるんだから化け物か…頭を撃たれて死んだから…ゾンビってか?馬鹿げてるな)
自分でも笑えないブラックジョークと思った。
しかし…同じ警察署にいたある男から聞いた話を今のタイミングで思い出した事に、何故か言い様の無い不安と予感が走った気がした。
それをマックは気のせいと流し、先に降りて行ったスティーブを追いかけ、階段を降りていく。
…先程の男に喰われた女性が動き始めた事に気付かないままに………。
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