ホワイトノート

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 先生方やクラスメイトたちの配慮で私たちは二年生時から同じクラスの隣同士の席。 『よう』  『……おう』 『俺の名前はつばさ、お前の親友』  私たちが教室に入るとすぐに駆け寄ってきて彼に名前を告げたつばさくんは、このクラスで唯一彼に毎日話しかけてくれる人。  最初は警戒気味で無口だった彼も、つばさくんの無邪気な笑みに段々と自分から話すようになった。  私はそんな二人から視線を外し、教室内を見渡した。  お喋りに夢中な人もいれば本を読んでいる人もいて、机の上に授業の準備をしている人もいる。  彼を面白そうに見ている人もいれば彼に無関心な人もいて、 『……』 彼に冷たい目を向ける人もいる。  何度名前を言っても次の日には忘れてしまう彼。  そんな彼に苛立つ人もいれば落ち込む人もいて、呆れる人、悲しむ人……そんな経過を得て、根気強く彼に話しかけるのは私とつばさくんだけになってしまった。  彼が“こう”なる前まで“友達”だった人たちも、 今では“他人”となってしまった。  
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