第11章 劣情ロマンチカ

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「え?それで、どんな夢なの?」 「いえ、それが内容を全然覚えてなくて。ただ、なんか気持ち悪いって言うか、キモイ物を見たような気はするんだけど、目を覚ました時には何も記憶がないのよね」  桂木二尉は俺に顔を向けて訊いた。 「早太君もそんな夢見てる?」 「いえ、俺は全然」 「ラミエルさんは?」 「そう言われれば夢で夜中に起きる事が何度かありました。でも、麻耶ちゃん程はっきりとは自覚していませんね……あっ、ひょっとして!」  ラミエルが何かを思い出したようで、桂木二尉がすかさず食いついた。 「ラミエルさん、何か心当たりが?」 「はい、あくまで推測ですが、脳波転送かもしれません」  俺も一応理系の大学生だが、それは初めて聞く言葉だった。 「ラミエル、何だ、そのノウハテンソウってのは?」 「人間の脳波を他の人の脳に送り込む事です。この星で使われている電波通信でも、強力な力の持ち主なら可能かもしれません」 「強力な力?」 「はい。たとえばテレパシーとか」  俺と麻耶と二尉はそろって「アッ!」と声を上げた。そうか!あのマクスウェルの魔女2号はテレパシー使いだと言っていた。彼女なら自分の脳波を電波に乗せて広い範囲に送信する事が出来ても不思議はない。だが、それでも残った疑問を俺は口に出してみた。 「そうだとしても、あの『腐海』って言葉とどう結び付くんだ?」  ラミエルは指でポリポリと頬をかきながら自信なさげに答える。 「さあ、そこまではわたしにも……」
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