第5章 全人類人質計画

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 と……ありゃ?……わあ、しまった!英語入力画面になっちまった!ラミエルが帰って来てから訊いてやり直すか?いやいや、そんな事をしたら……麻耶のこれでもかってぐらい人を小馬鹿にした目つきがありありと思い浮かんできた。  なあに俺だって浪人生とはいえ、理系志望の学生だ。この程度の英語出来なくてどうする!俺は英語の辞書を膝の上に置いて「中性子」を引き、そのページとコンパクト型スパコンの小さな画面を交互に見比べながら、なんとか入力を終えた。  さて二人が買い物から戻ってきて俺は缶コーヒー、二人はペットボトルの紅茶で喉を潤し、そして今回は珍しくまだラミエルの軍資金に手をつけていなかった事に気がついた。そこで、麻耶がいっちょうパーッと遊びに行こうと言いだした。  確かにこのところ、麻耶は別として、俺とラミエルは作戦のために働きづくめだったから俺も羽を伸ばしたくなった。ラミエルも異存はないという事だったので三人で六本木の街へ繰り出した。  まず普段より豪華なレストランでランチを取り、女二人の秋物の服を買い、ついでにカラオケへという流れになった。もちろんラミエルはカラオケは生まれて初めてだろうから、けっこう面白い事になりそうだ。いや待てよ、歌わせてみたらビックリ、プロ並みの美声なんて可能性も……
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