第5章 全人類人質計画

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 麻耶は街角ごとに右へ左へ何度も方向を変え、裏通りや路地裏を縫うように走って男たちをまこうとした。さすがに麻耶も息が切れたのか一旦立ち止り、かろうじてついてきた俺に向かって息をはずませながらこう言った。 「あいつら……ハァハァ……自衛隊よ。それも特殊部隊みたいね」  俺は腰を抜かさんばかりに驚いた。 「なんで俺たちが?!」 「地球全体を脅迫してる最中の侵略者でしょ、あたし達は?この三人の中の誰かが、どこかで気付かないうちに電波発信機か何かを取りつけられた……その可能性はアリだと思うけど……」 「お前の推理、当たってるようだな」  俺は前と後ろを交互にながめながらそう言った。いつの間にか前後両方から、まだだいぶ距離はあるが、三人ずつの黒ずくめの男たちのグループが二つ、こっちめがけて猛然と走って来る。  麻耶は周りを見ますと、すぐまた俺たちを引っ張って全力疾走を再開した。また何度か狭い裏通りを縫うように走りまわって、ひときわ狭い路地に入る。が、路地の奥は袋小路だ! 「や、やばい、行き止まりだぞ!」  そう叫ぶ俺には目もくれず、麻耶は突き当たりの建物のドアを開けて俺達もろとも中に飛び込む。妙に重厚な感じのするドアだと感じたが、中に入って俺は驚きのあまり床に尻もちをついてしまった。
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