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ラ、ラブホじゃないか、これは!いや、俺も入った事はないが週刊誌とかで大体の様子は分かる。それにしてもなんだ?この部屋代の高さは!休憩三時間で一万二千円だの一万五千円だの。俺の聞いた事のあるラブホは大体同じ時間で五千円とかぐらいじゃなかったか?
入口にロビーの片隅にあるパネルに書いてある部屋の写真と値段を見ながら俺は呆気に取られていた。それになんか部屋のインテリアが変だ。パネルの一番上にホテルの名前があった。「ベータ・イン」……何か説明書きが小さな文字で……
この時俺はもう一度卒倒してひっくり返りそうになった。「SMプレイ専用ホテル」?!
麻耶は顔色ひとつ変えずに平然と一番下にある四角いボタンを叩くように押した。げっ!何だ、その「地下特別ルーム、二時間五万円」てのは!
「さ、早く入るわよ」
せかす麻耶に俺はやっと理性を取り戻した。俺は両手を麻耶のそれぞれの肩の上に置き、妹の目をまっすぐに見つめながら、兄としての精いっぱいの威厳を込めながら、ゆっくりとこう言った。
「いや、待て。ラミエルはいいとして、俺とおまえは血のつながった兄妹だ」
言い終わらないうちに麻耶のポーチが俺の脳天を直撃した。
「何考えてんのよ!追っ手から隠れるだけじゃない。まさか六本木のど真ん中にこんな変わったラブホがあるとは気付かないでしょ!」
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