第5章 全人類人質計画

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 俺はよりによって、そんな人畜無害な素粒子を放射するようあの円盤を設定してしまったわけだ。 「あ・に・き……」  カタ~く丸めた雑誌を手にして麻耶がゆっくりと俺の方に近づいてくる。なぜかあの六本木のラブホの部屋の光景が頭に浮かんできて俺はひきつった笑いを顔に浮かべながら、畳の上を後ろ向きに座ったまま後ずさった。 「ま、ま、ま……でも考えてみればよかったじゃないか?もし俺が間違えてなかったら、俺たち全員あそこで死んでたわけだろ……だから……なっ・……なっ」 「言いたい事はそれだけ……か!」  それが最後の言葉だった。俺はたっぷり三十分、麻耶に丸めた雑誌でぶったたかれながら狭い部屋の中をむなしく逃げ回った。  今回のラミエルの軍資金、八万七千五百円。六本木で奮発したランチが三人で九千円。その他買い物と様々な出費が往復の電車代込みで三万一千五十円。ベータ・インの地下特別ルーム料金が五万円。  第四回地球征服作戦、締めて二千五百五十円の赤字。
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