第6章 時を賭ける少女

2/11
前へ
/285ページ
次へ
 次の土曜日の夕方、俺たち三人はいつものように俺のアパートに集まり、今後の事を相談した。ラミエルの星から送られる超兵器は三つとも使い果たした。彼女の地球征服の任務の期限も迫っている。  ラミエルの宇宙船である、あの赤い球体は残っているし、あれはあれですごい性能だから、何か方法はないか二時間近くああでもない、こうでもないと小田原評定をくり返したが、麻耶にも名案は浮かばなかった。ましてや俺やラミエルからいい考えなんてものが出てくるはずもなく、その日は一旦お開きにして、麻耶は実家へ帰って行った。  麻耶の足音が完全に聞こえなくなるまで遠く離れたのを確認すると、俺とラミエルはどちらからともなく寄り添って正面から抱き合った。  言っておくが、それ以上の関係にはなっていない。だが、今考えてみれば結構危険なシーンを共に乗り越えてくるうちに、俺とこの宇宙人の美少女はいつしか愛し合うようになっていた。  そして今夜は、麻耶には内緒である計画を実行するつもりだった。麻耶は知らないが、実はラミエルの球体には時間航行の機能もあるのだ。昨夜こっそり俺にだけ打ち明けてくれた。といってもどんな時代にも自由自在に行けるわけではなく、例によっていろいろ制限があるのだが。  まず、乗っている人間がかつて存在した時間と場所へしか行けない。次に、今俺たちがいる時間から最大で二十年前の過去へしか行けない。また戻って来る場合は未来に行くことになるはずだが、なぜか今より未来へは行けない。
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加