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その時、大通りの方からすさまじくけたたましい歓声が上がった。あわててそこへ走っていくと、ギンギラギンに飾り立てた大型トラックが何百人もの若い男に囲まれてゆっくりこちらへ走って来るところだった。
トラックの荷台の屋根の上には古代エジプトの神殿にあったような派手な玉座が据え付けられていた。そしてそこに足を組んでふんぞり返って座り悠然と周りを見回している若い女がいた。その姿を見て俺とラミエルは腰を抜かした。
それは麻耶だった。腕や脚や胸元をやたらに露出した革のアーミールックに身を包み赤いマントを風にはためかせているという異様な姿だったが、顔も体つきも間違いなく麻耶だ。ひとつだけ違うのは、やはり腰の近くまで長く伸ばした髪が紫色をしている事だ。
トラックの周囲の若い男たちが一斉に「マヤ様、万歳」と叫ぶ。宇宙人麻耶は荷台の屋根の上で立ちあがって女王様のような貫禄で手を振る。
なるほど、最初に地球の若い男たちを美貌で手なずけて親衛隊にしたらしい。これを世界中でやってきたんだろう。若い男が一斉に宇宙人に寝返ったら、地球の側も手の打ちようがなかったに違いない。だが……こんな事ってあり得るのか?
俺は思わずラミエルの肩をつかんで彼女を揺り動かしながら、しかし周りに聞こえないように小声で尋ねた。
「これは一体どういうことなんだ?君の代わりに、君の星で育った麻耶が地球征服のために送り込まれて来たのか?」
「そのようです。そうとしか考えられません……」
ラミエルも茫然としている。
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