第1章 銀色の侵略者

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 麻耶が本気で不思議そうな顔で返す。 「ちょっと、なに、兄さん。血を分けた妹の危機に傍観決め込むつもり?」 「危機なのはお前じゃなくて、地球の方だろうが!」  そんなやり取りを延々三十分も続けただろうか?子供の頃からの、いつものごとく、俺は妹に押し切られ、その計画の一員にされてしまった。  さて話は決まった、と言うか、俺の意思など全く無視されて決められてしまったのだが、やおら現実的な問題が浮上した。  まずラミエルを今晩どこに泊めるかという事。もう一つは彼女の服装だ。東京の繁華街に行けばアニメから抜け出してきた様な奇抜な格好で闊歩している連中がごろごろしているとは言え、彼女の宇宙服は上から下まで光り輝く銀色で、さすがに目立ち過ぎるだろう。街でその手の格好の連中から仲間だと思われてナンパされても困る。  もっともこれは麻耶が即座に解決した。妹が肩から下げていたバッグの中から、なんと私服の着替えワンセットが出てきたのだ。二人は背格好がほとんど同じぐらいなのでラミエルにはぴったり合うだろう。  後で聞いた話だが、ラミエルの年齢は地球人のそれに換算すると十七歳だそうだ。麻耶より一個だけ上だ。なら服のデザインとかも年相応で、それなら街を歩いていても誰も宇宙人とは気づかないだろう。髪が紫なのはちょっと気になるが、もっと派手な色に染めている女の子がいるから、むしろ控えめな方かもしれない。
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